EXHIBITION FUNERAL
「葬式」という重たいものをテーマとして用いることに、このグループ展としては特にこだわりがあったわけではない。
「葬式」というテーマは確かに重たい。しかし、このグループ展では三者三様の創作への反応を促すためのひとつの材料に過ぎない。
けれど、ただ単に悪ふざけでこのテーマを扱うわけではない。
私は既婚者ではないし、自分の子孫を残していくといったことに現実感を持てるほど、自身の人生を構築できているとは言えない。
その一方で近年は私に時間と労力と愛情を注いでくれた人々との別れには、何度か直面している。
私にとっては新しい生命の誕生を待つことよりも、命が終わるのを見届けることのほうが現実感を持って捉えられるように思われる。
「葬式」というものは、終わった命を残されたものたちの間で見送る儀式である。
どのような文化にもそのような風習は見られる。
しかし、たとえ同じ文化の中でもそれに臨む人間の心情はそれぞれ違う。
そこで、ほぼ同じ世代の三人で行うグループ展のテーマとして、この「葬式」を扱うことにした。三者それぞれ違った抽出のやり方で「葬式」というものの表現を行った。
送るということについて真剣に向き合った結果を見て頂きたい。